伝統の職人技が生み出す純和風住宅
― 日本建築の真髄を極めた入母屋(いりもや)せんかい造りの住宅 ―

古来より寺社の屋根として用いられた入母屋造り。その後、武家社会とともに城や殿舎に用いられ、
明治の頃からは豪商や豪農の屋根に使われるようになった。
その重厚で格式高い形式は、現在でも人々の憧れの造りとして重んじられている

 日本建築の形式として多くの人々が憧れた入母屋造りによって建てられた純和風住宅をご紹介。入母屋造りとは上部が切妻造で下部が寄棟造となる構造の屋根のことを指し、軒天井がなく垂木をそのまま見せることで外観は品が良く大変美しい形状になっている。非常に高い技術が要求される為、代々親方から受け継いだ知識と経験がないと建てる事が出来ないという。
 今回取材にご協力頂いたお宅は着工から完成まで1年をかけ、無垢の欅をふんだんに使用し建築した純和風住宅。1階の建具は全て手造りであり、中には以前使用していた土蔵の欅も使用しているとのこと。玄関を開けると約5帖の開放感あふれる空間が広がり、広々とした廊下が伸びる室内は白壁と欅の色合いがとても鮮やかに映える。


広々とした廊下は
幅1.8mあり接板も無垢の欅材で
仕上げている。


10帖間の和室が3部屋続き間となっており、
天井も高くゆったりとしている。
奥の客間は床の間がある書院造り。


桧材で造られた階段は
幅1m20cmあり、昇降中の
すれ違いも余裕をもってできる。

 純和風住宅は月日が経つ程に木が持つ色あいの変化を楽しむ事ができる。そこで生まれ育った子供がやがて親となり、孫に囲まれる頃にはまた違った雰囲気と表情を見せ、そこに住む人間とともに歴史を刻んでいくのだ。
 様々な年代の賑やかな声が今にも聞こえて来そうな大きく重厚な純和風住宅は、どこか懐かしさを感じさせ、その趣と確かな技術に感服せずにはいられない。

 


DATA

有限会社 上野工務店
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