月山高原 鈴木農園 代表/鈴木 繁治さん

 

ブルーベリー栽培を始めたきっかけ

 今から29年前になりますが、私は農家の長男で、それまでは稲作を中心に、りんごや和梨、洋梨などの果樹園をやっていました。父が果樹を、私は田んぼを担当していました。その当時の農業は減反が始まった頃で、稲作には将来性を見込めないため、転作に何か良いものはないかと探していました。
 そこで農協に相談したところ、ブルーベリーはどうだろうかと薦められました。当時ブルーベリーなんて見たことも触ったことも、もちろん食べたこともない未知の果物だったので、仲間4〜5名で長野県に研修視察に行くことになりました。視察先は長野県信濃町の野尻湖畔にある農園で、日本で初めてブルーベリーを栽培した伊藤国治さんという方でした。伊藤さんはとても良い人で、この方との出会いが現在の私につながっています。伊藤さんのブルーベリー園は開園してから14年ほど経っておりとても素晴らしく、その園地の可憐なブルーベリーの実を見て一目惚れしました。さらに伊藤さんから様々な話を聞くうちに「これはいける」と確信しました。
 当時のブルーベリーの栽培は山形県では実績がなく、まったく何も分からず手探りの状態だったので、長野県の伊藤さんの所へは何度も足を運びました。日中は自分の農業の仕事があったので長野に出発するのはいつも夜中。むこうに着くのは深夜の2〜3時で、少し仮眠を取ってから伊藤さんの園地へ向かい、仕事を手伝いながらいろいろと学ばせていただきました。伊藤さんから丁寧に教わるということはなく、一緒に仕事をやらせていただきながら覚えたり、それこそ根掘り葉掘りしつこく聞きましたね(笑)。
 栽培は研修の翌年から開始しました。本気でするのならばある程度の本数を植えないと駄目だと思い、最初に1000本ほど植えました。田んぼが13ヘクタールあったのですが、30アールを崩して土壌改善しブルーベリー畑にしました。当時はとにかくがむしゃらに誰もやっていないことを確立してやろうと思い、ブルーベリーの専業農家を目指していました。

 

 

  園内のブルーベリーは無農薬で有機栽培

 堆肥は木の皮やおがくず、油粕などの有機肥料をやっています。化学肥料は一切使用しておりません。さらに、ブルーベリーそのものが害虫や病気に強いため、農薬を使う必要も全くないのです。唯一天敵といえるのが実を食べる小鳥なのですが、この辺の空は鷹が縄張りにしているので、小鳥も寄り付きません。
 かと思えば、ブルーベリーにはとてもデリケートな所もあり、特に根はとても弱く通気性のいい柔らかな土でないと根張りは良くありません。土によってブルーベリーの味が決まるといっても過言ではなく、良い土で育ったブルーベリーは甘くコクのある味になります。私どものブルーベリーは糖度が12〜13度あります。常連のお客様が他のブルーベリーと食べ比べ、違いが良く分かるとおっしゃっていました。


ブルーベリーをやって良かったことは

 観光農園では子供たちの喜ぶ姿や、自分たちで摘んで「美味しい」と喜んで食べていただくのが一番嬉しいですね。また、親子の触れ合いやお爺ちゃん、お婆ちゃん達と仲良く話しながら楽しそうに摘んでいる風景などを見ると、本当に観光農園をやってよかったと思います。
 お客様は庄内の方が一番多いですが、新潟県や宮城県などの近県から見えられる方もいます。他にはブルーベリーを食べて視力が良くなったなど、体調改善のお礼の葉書をいただいたりします。

 


DATA

月山高原・鈴木 農園
山形県鶴岡市羽黒町上野新田字上台80 TEL.0235-62-4042