アル・ケッチァーノ 奥田 政行さん * グランドエル・サン 丸山 孝一さん

Q、2人の出会いやお互いの印象

M、私が何度か奥田さんの店に足を運んでいたのがきっかけでしょうか。
O、私も知人を通じて庄内に凄いパティシエが来たって、丸山さんの事はお会いする前から知っていました。ところで丸山さんは私の料理は最初どう感じましたか。
M、奥田さんと直接お話する前に食べさせて頂きましたが、奥田さんの料理には何か主張があるな、あ〜この人は料理に対して色んな思いを持っているんだな〜、と感じましたね。その後私がフランスに行っていた事を話したら、イタリアンとフレンチの料理方法をきっちりと分けてくれ、食べ手側の事を考え、食べる人を喜ばせる力を持っている人なんだな、というのを感じました。
O、私は丸山さんと会う前からエル・サンに何度か来て丸山さんが作ったケーキを食べていて、美味しさは勿論ですが、そのケーキが訴える主張や考えを充分分かっていました。ですから、東京からジャーナリストの方とか色んな料理人が私の所を訪ねて来て、その時庄内を案内するんですが、そのコースに実はエル・サンのスイーツが入っていました。例えば料理人だとあまりお金がないので、大山の酒蔵に行って酒を飲ませ、その後物産館に行って魚を食べさせ、お肉屋さんに行って肉をつまませて頂いて素材そのものの味を食べる、そして最後のデザートの仕上げが丸山さんのスイーツだったんですね。そうするとプロの人達がこれが庄内の食材かって大喜び。最後の締めのデザートはしっかりした技術が入っているので、みんな本当に喜びますね。
M、その事を後で聞いた時はビックリしましたね。なんだ・・・じゃあ声かけてよって(笑)
O、ですから私の場合はいつか丸山さんに会えるだろうな、と思っていました。そして最初に思ったのが丸山さんの目線の先にはフランスがあるという事ですね。同時に私は丸山さんも作り手の事も敏感に感じ取れる人なんだなと思いましたね。ちょっと話が難しくなりますが、丸山さんは美味しさの先が見える人なんですよね。というのは私と同じように、修業中に沢山の修羅場をくぐり抜けている人で、そういう人は分かるんですよ。
M、ありがとうございます。実は私も同じように感じていました。

Q、夢のコラボのきっかけは

M、奥田さんと出会って食事をしたり、仕事が終わってからワインを飲みながら話をしたりというのが何度か続いていく中で、「なんか二人で面白い事やれたらいいね」、という事になったんです。
O、二人でコラボしたら面白いだろうなと。例えば私の料理だと、さらさら流れる感じで進みますが、丸山さんの最後のデザートでガランと様子が変われば絶対面白いだろうなと。やったら面白い、いつかやってみたい、と話していたんですよ。普通はお互い会社が違うのでこんな事絶対出来ないのですが、ある日エル・サンの方が食事にみえて、その時は丸山さんはいなかったのですが、「丸山さんとやったら絶対面白いよ〜」って言ったら、その場で話が進んで、やれる事になったんです。
M、決まってからは早かったですね。 O、実際やってみて色々な発見がありました。例えばアル・ケッチァーノにないものがエル・サンにあって、エル・サンにないものがアル・ケッチァーノにある。施設の設備なんかは羨ましい限りで、調理の仕事がとてもスムーズに流れていて気持ち良いですね。うちの調理場はいつもみんなに根性だ根性だって(笑)。まるで正反対の職場環境です。そういった意味ではエル・サンの調理スタッフはとても幸せだと思います。
  そして今回一番嬉しかったのがお互いのスタッフがとても生き生きと仕事していた事ですね。スタッフの一人一人が仕事をやらされているというのではなく、自分達も喜んでそこに参加している、一緒に盛り上がっているという感じでした。
M、私も奥田さんと同じで、お互いジャンルを超え、みんなが率先して仕事を楽しんでいるなと感じました。特に奥田さんがうちの厨房に入って仕込みをしながら調理スタッフとコミュニケーションしていましたので、相当色んな刺激を受けながら活性化につながったんじゃないでしょうか。厨房以外のスタッフもそれこそ最高のサービスを提供するんだと一生懸命でしたから。奥田さんの料理と私のスイーツが合体となって全員の気持ちが一つになり、まさに素晴らしいコラボレーションだったのではないでしょうか。

Q、実際の夢のコラボをやってからの感想

M、これをやるにあたって奥田さんと話をしていたのですが、絶対賛否両論あるよねって。逆に自分達が波風を起こしていく事が重要だよって。評価を気にしてやるのではなく、自分達が楽しもうよって。おかげさまで色んな意見も頂きましたが、他県から来て頂いた方なんかは、次はいつだって。次のコラボを予約していくよ、という人もいらっしゃいました。
O、実は「飲食店経営」の編集長の千葉さんという方が取材も兼ね、今回のイベントにご参加頂いていたのですが、今回のような事が私達より先に何回か行われていたようなんですね。青森県では熊谷喜八さんが鳥取県ではフレンチの石鍋裕さんが、それそこ日本を代表する素晴らしい方が地域おこしをテーマに行っていらっしゃったようです。ただその取材記事を見てちょっと気になったのがどの会場も皆さん行儀よく、静かな雰囲気で盛り上がりというものがあまり感じられなかったんですね。それに対して私達のイベントはスタッフも含め皆で楽しんでいたのではないかと思います。
M、お客様の中には感動して泣きながら喜んでいる方もいらっしゃいました。そんな方を見て私達も一緒に感動出来ましたし、本当にやって良かったと思いました。

DATA

アル・ケッチァーノ
〒997-0341 山形県鶴岡市下山添一里塚83 エ0235-78-7230
http://www.ques.co.jp/alchecciano/

グランドエル・サン
〒997-0801 山形県鶴岡市東原町17-7 エ0235-24-4633
http://www.el-sun4633.com

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